「なんにします？」

「えっと…かけそばで」

「もっとトッピングが豪華なのにすればいいのに」

「少食なんで」

「食べ切れなければ俺が食べるよ。一緒に天ぷらそばにしよ」

「や…悪いです」

「せっかく一緒に食べるんだから一緒のほうが嬉しいじゃん」

妙な人懐っこさだと思った。
初対面でいきなり食事に誘ってくるし、
お揃いにしようなんて言うし。

それが不快じゃなくて自分でも不思議だった。

注文してから十分くらいで温かいお蕎麦と天ぷらの盛り合わせが運ばれてきた。

海老天、さつまいも、いか、キス、蓮根、大葉。

「すごくおいしそう。でもこんなに食べ切れないかも」

「任せて。全部好物だから」

男性の言葉に頷いてお出汁を一口すする。

おいしい。

体の芯からじんわりと伝わってくるぬくもりにホッと息が漏れる。

「うま」

ふーふーお蕎麦を冷ましながら
ニコニコと嬉しそうにすする男性に訊いた。