僕の雨になって

「糸ちゃん」

「うん…」

「俺ね、」

「はい」

「糸ちゃんのことが好きです」

「……え」

あんなにうるさいと思っていた、豪雨が窓を叩く音が
ピタッと止んだ気がした。

自分だけが異空間に飛ばされて、
世界中から音が消えてしまったみたいだった。

「あれ。ちゃんと聴こえてる…よね?」

「…うんもちろんちゃんと…はい、それは…」

「ごめん。驚かせて」

「驚きました」

「そうだよね。でもほんとだから」

「あのでも、え…なんで…」

「たぶん俺さ、第一印象から糸ちゃんに惹かれてたんだと思う。だから無理矢理ごはんに誘ったりしたし、彼女がどうこう言っておきながら糸ちゃんとの関係をズルズル断ち切れなくて…。最低だよな。糸ちゃんの声を聴くたびに、言葉を交わすたびに励まされた。自分が抱えてることなんてどうでもいいって、その時間は思うことができた。糸ちゃんは俺をただの人間として見てくれてる。生きててもいいんだって思えた。糸ちゃんは大袈裟だって笑うかもしんないけど、そんなことないんだよ。全部本当なんだ」