僕の雨になって

「会うより先にまたお電話しちゃったね」

「それはごめん」

「謝んないでよ。嬉しいんだから」

「それ本音かなぁ」

「もちろん会えたほうがもっと嬉しいし、全部は本音じゃないかもね?」

「うわぁ。いじわる糸ちゃんだ」

台風のせいで聴こえにくいと思っていたけれど、
今日は本当にいつもより、か細くて震えている気がした。

「今日はどうしたの。また彼女と喧嘩?」

「糸ちゃん」

「はい」

「俺、糸ちゃんに話さなきゃいけないことがあって」

「その為に会う約束したんじゃん」

「そうじゃなくて。その前に話さなきゃいけなくて」

「え、なにー。怖いなぁ」

紅華の声の調子がいつもと違うからか、
胸がざわざわして、心臓がドクドクと早鐘を打つ。