僕の雨になって

頭頂部が焼けそうなくらい快晴だったのに
夕方頃から降り始めた雨は、
二十時を過ぎると土砂降りになっていた。

連日、天気予報では台風への注意喚起が繰り返されていて、
それが的中したようだった。

「もしもし」

「こーちゃん、こんばんは」

「こんばんは」

強風が雨戸をガタガタと揺らしている。
雨の音が、部屋の中で降っているんじゃないかと疑うくらいに飛び込んでくる。

いつもより小さくて消え入りそうに感じる紅華の声を聞き逃さないように
スマホを耳にギュッと押し当てた。

出逢った日の雨を思い出した。

紅華は「この程度の小雨」って言っていたけれど、
しっかりと濡れてしまっていたシャツの光景が目の前に蘇るたびに
今ではなんだか微笑ましい。

こんな台風の中ではきっと、傘なんてあっという間に壊れてしまう。
もう二度と、穴なんて見つけてもらえないほどに。