僕の雨になって

「カラ元気」

「え?」

時雨がおやつ交換で貰ったチョコレートまみれのビスケットを頬張りながら、横目で私を見る。

こんなに快晴なのにチョコ菓子を持ってくるなんて勇者だとクラスメイトに言ったら、
得意げな表情でジップロックに入った保冷剤を揺らしながら、
「疲れた体にはチョコが必須でしょ」ってハニかまれた。

その勇姿を女子達は讃えた。

「ずーっとスマホ気にしちゃって。落ち込んでるくせにいつもより大袈裟に笑ってんでしょ」

「別に落ち込んでなんか」

「ないの?」

「…ちょっとはあるけど」

「既読スルーどころか未読スルー常連男なんてやめときなって。一日中、一瞬たりともスマホ触れないなんて激ヤバブラック社畜か囚人くらいだよ」

「極端過ぎ」

「そんなわけ分かんない男より素敵な人いっぱい居るよ」

「素敵な人を探し続けてるからコロコロ彼氏が変わるんだ?」

「慰めてんのに喧嘩売るなんていい度胸だね?」

「好きな人を否定されたから怒ってんの」

「へーへー。そーですか」