僕の雨になって

紅華は男性にしては体の線が細いほうだから
体を動かすことが好きなのはちょっと意外だった。

脱いだらけっこう筋肉質なのかもしれない、なんて想像してしまって
打ち消すように頭を振った私を、
紅華は不思議そうに見ていた。

「働いてるとこ見てみたいかも」

「絶対だめでーす。恥ずかしいし」

「ケチ」

「そんな憎まれ口たたく子にはお説教ですねぇ」

紅華の手のひらが私の髪をわしゃわしゃと撫でた。

あまりにも不意打ちで、ワンテンポ反応が遅れた。
心よりも体の反応のほうが素早くて、
カッと急上昇した血液が一気に頭頂部まで昇りつめたみたいに、
顔も頭の先も熱くなった。

「ちょ…髪の毛ぐちゃぐちゃになっちゃうじゃん」

「糸ちゃんの髪はサラサラだから乱れないよ」

「乱れるの。別にサラサラじゃないし」

「サラサラだよ。ほら」

紅華の指が髪の毛先をすくう。

鎖骨より少し下くらいまで伸びた私の髪が
紅華の指の隙間から流れ落ちていく。

もしかして私、死んでしまったのかと思うくらいに呼吸が苦しかった。