「だって、おかしいよね。お互いが居なくても大丈夫な未来なんて。そんなの一生来るわけないのに」

「一生なんだ」

「だって私、こーちゃんが居なくなったら全然大丈夫じゃないよ。大好きだもん。寂しいし悲しいよ。こーちゃんの為ならなんだってできるのに。でもそれじゃだめなんだよね。共依存の始まりだから。一緒に居て高め合うより、たぶん私達は弱くなってた。弱くあればあるほど、お互いのことが気になってしょうがなくなっちゃうから」

「そうだね。″誰かの為に″、を俺達は履き違えてたよね。誰かの為に身を削ってるつもりで見返りを求めてた。″これだけのことをやってるんだからご褒美がほしい″って、そういう気持ちが大きくなってたのかもしれない。それってさ、誰かの為に、の前に自分自身が確立されてないから、善意を尽くすことで自分が正しい人間になれた気になってたんだよね」

「誰かに愛されてる自信ってそういうことじゃないのにね」

「うん。糸ちゃん、決めたことがあります」

「どんなこと?」