「糸ちゃん、明日って暇?」

紅華から、相変わらず突然の電話だった。

「暇だよ」

「学校は?」

「休めるよ」

「じゃあさ、ちょっとデートしない?」

「デート?いいねぇ」

「何かしたいことある?」

「そうだなぁ…あ!ごちそうバーガー食べたい」

「ごちそうバーガー?」

「この前バラエティー番組で観たの。バンズも自家製だったりしてさ。粗挽き肉のパティに新鮮な野菜。トッピングも豊富で、ああいうの食べたことないから体験してみたいなぁ」

「それならおすすめのとこがあるよ」

「ほんとに!?」

「うん。一緒に行こう」

「やったぁ」

紅華の声は晴れやかだった。
何かが吹っ切れたような調子に聴こえて、
安心した反面、波があるのかもしれないと思うと少し心配でもあった。