すぐに部屋に戻ることはできなかった。
琉真自身、気が動転してしまっている。
この怒りを抱えたままで、紅華にどんな言葉がかけられるだろう。
こんな状態で「大丈夫」だって?
言えるはずがない。
こんなにも震えている腕では紅華を抱き締めてあげることもできない。
そうこうしているうちに紅華が私にメッセを送った時刻を過ぎた。
やがて引きずるようにして体を持ち上げた兄が「紅華に謝らなきゃ」と、
うわ言のように繰り返しながら部屋に戻ろうとするのを阻止しながら
押し入るように部屋に踏み入った時には、遅かった。
「こ……こうか……紅華!?」
床に散らばる錠剤は恐らく睡眠導入剤。
リビングからシャワールームに繋がる廊下に滴る、既に黒く変色し始めている血液。
浴槽に張った水が染まりきっていないことから、致命傷になるほどの深い傷ではないと瞬時に判断はできるけれど、
浴槽にもたれかかるようにグッタリと瞼を閉じる紅華の呼吸を確認することが恐ろしかった。
それは琉真が今まで生きてきた時間の中で最も恐ろしい瞬間だったという。
琉真自身、気が動転してしまっている。
この怒りを抱えたままで、紅華にどんな言葉がかけられるだろう。
こんな状態で「大丈夫」だって?
言えるはずがない。
こんなにも震えている腕では紅華を抱き締めてあげることもできない。
そうこうしているうちに紅華が私にメッセを送った時刻を過ぎた。
やがて引きずるようにして体を持ち上げた兄が「紅華に謝らなきゃ」と、
うわ言のように繰り返しながら部屋に戻ろうとするのを阻止しながら
押し入るように部屋に踏み入った時には、遅かった。
「こ……こうか……紅華!?」
床に散らばる錠剤は恐らく睡眠導入剤。
リビングからシャワールームに繋がる廊下に滴る、既に黒く変色し始めている血液。
浴槽に張った水が染まりきっていないことから、致命傷になるほどの深い傷ではないと瞬時に判断はできるけれど、
浴槽にもたれかかるようにグッタリと瞼を閉じる紅華の呼吸を確認することが恐ろしかった。
それは琉真が今まで生きてきた時間の中で最も恐ろしい瞬間だったという。
