僕の雨になって

その理解は次第にあらぬ方向へと進み出した。

弟に幸せになってほしい兄心と、
血の繋がった「妹」のように可愛がってきた紅華が、
一生をかけて同じ道を歩むことはできないと悟った時、
その愛情に悪魔が囁いた。

「間違っているのは紅華だ」

「紅華だってこんなに苦しんでいる。琉真なら全てを賭けて紅華だけを守ることができるのに。そんなに苦しいのなら俺が正しく戻してやろう」

クリスマスの夜、三人で会おう。
そう計画したのは兄だった。

始めこそ、琉真は「バイトを早く上がれたら彼女に会いたい」と断ったけれど、
「紅華がまたフラれて人間不信に陥る寸前なんだぞ。お前まで見捨てるのかよ」と、
脅しにも似たそんな言葉で、琉真はそれ以上断ることができなかった。

「″友達″に会うなんて言ってごめん。また″幼馴染″なんて言ったら結局糸じゃなくて幼馴染だけがだいじなんじゃんって、今度こそ糸を怒らせてしまうかもって思ったら怖くて」

琉真はそう言って項垂れた。

それから奇跡的に聞き取れたくらいの声で、
「結局誰も守れなかったけど」って言った。