僕の雨になって

「そうかな…」

「だからこのメモも、絶対に俺が見つけてくれるって信じて残したんだと思う。番号見てすぐに糸の番号だって分かった」

「そんなわけ…」

「分かるよ。もう何回糸に電話してきたと思ってんの。そういうの、人は無意識にうっすらとでも憶えてしまうから。それにやっぱ…ずっと疑ってたから」

「疑ってた?」

「疑ってたって言葉はちょっと乱暴だな。願ってたのかもしれない。″糸の好きな人が紅華じゃありませんように。二人が繋がっていることは構わないからどうか紅華が糸に恋してませんように″、って。糸?」

「うん…」

「俺もね、ちゃんと本当に糸のことが好きだったんだよ」

「琉真…」

「紅華に張り合って言ってるんじゃないよ。本当に糸のこと、好きになってた。でもどこかで糸がどうしても忘れられない人が紅華で、自分を犠牲にしてでも、自分を大切にしてくれてる…俺とかね?そういう存在を犠牲にしてでも紅華のことを守りたいって思ってくれたことが嬉しかった」

「ごめんなさい。琉真…ごめんなさい…。琉真の気持ち裏切ってばっかりで…」

「責めてるんじゃないんだ。本当に嬉しかったんだよ。俺は紅華を守ることができなかった。やっぱり紅華には…紅華には女で居てほしくて…普通に恋愛がしたくて……くだらないよな俺ってさ…」

「そんなことない!そんなこと…」

「糸」

「はい」

「ごめんな。終わらない恋愛、証明してあげられなくて…。糸、最後のお願い、聞いてくれる?」

「最後…?」