僕の雨になって

あれから五、六時間は経った。

眠れるはずなんかなかった。
目の奥がジンジンと痛む。

泣いていたのかもしれない。
でも、混乱した頭では自分のことなのにそれすらも分からない。

もしかしたら本当に悪いいたずらかもしれないし
メッセをしつこく送信することもやめた。

紅華が送ってきた文章を何度も読み返して、
スマホを握り締めてただ祈ることしかできなかった。

午前七時。

手の中で突然震えたスマホに並んでいた文字は「琉真」だった。

一瞬、応答することを躊躇った。

琉真と話している間に紅華から連絡が来るかもしれない。
そしたら応答しなかった私のことを紅華は許さないかもしれない。

でもこのまま紅華からなんのアクションも無かったら?

私は今度こそ、一人でどうすればいいのか分からなかった。

藁にもすがる思いだった。

助けてほしかった。

ずるくてごめんなさい。

ごめんなさい。

「琉真…」

「糸…やっぱり糸だったんだね」

スマホ越しに聴こえてきた琉真の声は別人みたいに掠れていて、
その言葉の意味も分からずに私の不安を掻き立てた。