僕の雨になって

「こーちゃん、これから大丈夫なの?一緒に居てくれる人はちゃんと居るの?」

「今週、友達に会うんだ。また情けない話聞いてもらうよ。そんで吹っ切って、また立ち上がるからさ」

「そっか。無理しないでね。私もいつでも話聞くし」

「ありがとう。じゃあまた連絡します。今日は本当にごめんなさい」

「はいはーい。元気出してね」

プツッと通話が切れる音がして、
一瞬で紅華の声を消し去った。

あのまま、紅華が言ったことを受け入れて、
恋人になることを選んでいたらどんな未来が待っていたのだろう。

そこに二人の幸せが在るとは思えなかった。

私は紅華を手に入れることができて、
紅華も、もしかしたら今みたいにはもう傷つかずに済むのかもしれない。

でもそれこそが私が一番恐れている共依存の始まりなのだと思う。

私と紅華、二人だけの世界でなら私達はきっと幸せでいられる。
誰にも邪魔されず、気持ちのいいことばかりを摘み取って、
あたたかな場所だけで生きていけるのなら、私達はもうそこから抜け出すことはできなくなってしまうだろう。

自分が疎ましがられたとしても理解しようと私の手を取ってくれた時雨のことも、
今のままの私でもいいからと、全てを一緒に抱えて生きていこうと覚悟してくれた琉真のことも
全てを裏切って、甘いだけの世界で生きていく私達には、
男だろうが女だろうが、人間としての正しさは何も残らないような気がした。