僕の雨になって

彼女とはどうなったの。

連絡すら拒んでいたのに
会ったりしたらもっと傷つけちゃうんじゃないの。

でも、ずるい私は言わなかった。

優しい紅華のモラルとか倫理観に訴えかけたら
全部失くしちゃいそうで怖かったから。

ようやく二度目の、紅華の顔を見れたのは
それから一ヶ月後の春、四月三日。

紅華の誕生日だった。

「会いたい」って言ってくれた紅華の言葉が起爆剤になって
私を突き動かしてくれた。

その数日後に、私から電話で紅華を誘った。

「四月、誕生日だって言ってたよね?その日に会えないかな?」

「大丈夫なの?」

「春休みだもん。全然大丈夫だよ」

「ありがとう。嬉しい。でも午後から約束があるんだ」

彼女かなって思った。
誕生日だし、しょうがないよねとも思った。

誕生日に誰よりも先にスケジュールを埋められる権利は
きっと彼女にあるって思ったから。

それまでの繋ぎだとしても紅華に会えることは素直に嬉しかった。

「じゃあこーちゃんが大丈夫なら午前中にちょっとだけでもいいから会いたい。お誕生日は一年に一回しか無いし…」

「ありがとう。糸ちゃんがお時間くれるのならぜひ。詳細はメッセ送るな」

「うん!」

やっと会える。

嬉しくて嬉しくて、それまでの時間の流れが呪いみたいに長く感じた。