僕の雨になって

「やっぱ無理だった。なんにも変えられなかった」

やっぱりかって思ったけれど、言わなかった。

「無理だったって?」

「彼女に言われたよ。自分は紅華の存在を認めようと努力した。紅華が性同一だって知ってて、心が男ならって思って付き合ったけど、自分に理解が無くて越えられなかった。でも本気で好きだったからもう一度紅華と一緒に頑張りたかった。もっともっと理解しようって努力もした。でも、紅華自身が自分を卑下して、私が変な目で見られないようにって周りばっかり気にして外では手を繋いだりとか、くっついたりもしてくれない。私がどれだけ努力したって紅華が誰よりも自分を世間から遠ざけてるんじゃん。もう疲れた。片方だけが努力し続ける恋愛なんておかしいよ。だって紅華が抱えてることなのになんで私ばっかりが悲しくなんなきゃいけないの。ごめんね、私はやっぱり普通以外にはなれないみたい、って」

その時の彼女の口調を真似しているわけではなくて、
そう言われてしまった自分自身を蔑むような口調で紅華は言った。

「そっか」

それしか答えることができなかった。

彼女が言ったことの全部が間違っているとは思えなくて、
だから紅華は再び″裏切られた″わけではないと思ってしまったから。