僕の雨になって

「あんたがそう思って苦しんだって、その気持ち全部が相手に伝わるわけじゃないから。それこそこーちゃんには幸せの成功体験が少な過ぎるんだと思う。いきなり信じろって言われても怖いもんね。それでも糸はこーちゃんと離れることができなかった。どうしたって大切な人を失くさない為に、無理矢理にでも掲げなきゃいけなかったのがその″詭弁″なら、もうとことんやってみるしかないのかもね。琉真くんだって手探りなんだと思うよ。今度こそ誰かを幸せにしたいけど自分でもどうするべきか分からない。だから今は相手の気持ちに寄り添うことが琉真くんにとっての正しさなのかもね。ま、とりあえずそばで見守らせてよ。親友として。それから人生のお勉強としてもね」

茶化すような目をしてニッと笑う表情が、
どことなく紅華に似ているように見えた。

絶対的に時雨が感じた疑問や怒りが正しいのに、
なんで私を理解することを選んでくれるのだろう。

親友だから?
私が一人で泣いてしまいそうだから?

理由はわからない。

だけど何があっても味方で居てくれるのだろうという心強さと、
時雨の前では誠実で、嘘の無い人で在りたいと思った。

時雨のことだけは裏切りたくない。
でも、今の自分にはそう言い切る、そんな自信すら持てなかった。