僕の雨になって

それなのにその二ヶ月後の三月、
紅華からメッセージが届いた。

もしも紅華が中退していなければ、
高校を卒業した頃だった。

「糸ちゃん」

嬉しいって気持ちに嘘はつけなかった。

ブロックされていたわけじゃなかったこと、
完全に関係が切れたわけじゃなかったこと、
「都合良く連絡してきやがって!」って気持ちよりも、安堵のほうが強かった。

「こーちゃん?どーしたの、びっくりした」

「ごめんね。俺が連絡しないって言ったのに」

「ごめんとか言わないで。嬉しいよ?」

「やっぱり糸ちゃんは優しいね」

「そんなことないよ」

「ごめんね。やっぱり糸ちゃんと喋んないとか無理だったみたい。結局糸ちゃんに甘えちゃってるね。あの時もそうだったし」

「あの時って?」

「初めて糸ちゃんに会った日。一緒にお蕎麦食べよって無理矢理誘っちゃったでしょ。あの日も弱ってた俺を糸ちゃんは救ってくれた」

「弱ってたんだ?」

「ちょっとね」

「その理由はまだ教えてくれないの?」

「ん…ごめん、もう少しだけ」

「分かったよ」

「糸ちゃん」

「なぁに」

「会いたいです」

「私も、こーちゃんに会いたいです」