僕の雨になって

「ごめん琉真。チクっちゃうけどさ、こいついつも言ってんだよ。糸と出逢えてなかったら一生うじうじして体の中までカビだらけになってたかもしれないって。糸が同じような辛さを持ってたから一緒に乗り越えることを選べたのかもしれない。違う奴のことでもさ、糸が一途に想い続ける強さが眩しいんだって。それがいつか俺に向いてくれたら最高なんだけどなー、ってさ」

「おい、凪。ハズいだろ」

「琉真くんの気持ち、勝手に決めつけてごめんなさい」

「はいっ!そういうことだから、この話はおしまい!糸は糸のままでいいんだよ」

「よーし!景気づけにパーっと歌おうぜ」

初めて四人で来たカラオケ。

凪くんがマイクを握り締めて、今一番支持率が高そうなバンドの曲を気持ち良さそうに熱唱した。
「高音が全然出てない!」なんて煽られながら。

「私ちょっとお手洗い。糸は?」

「私も行く」

お手洗いを済ませてフロアに出たところで、
時雨が唐突に受付カウンター前のソファに座った。

私にも座れと言いたそうな顔で隣をポンポンしている。