僕の雨になって

「そっかあ。今度は穏やかに、続いていったらいいね」

「ありがとう。でもまたなんかあったら相談しちゃうかもー」

「それは覚悟してます」

「なんかある前提なんだ?」

「あるでしょ?」

「あはは。さすが糸ちゃん」

陽が落ちると、吹く風も冷たくなってきた。
日中に感じる残暑は、夜にはすっかり感じなくなる。

あと三ヶ月も経てば紅華と出逢って一年になる。

私達の関係は確実に近づいたけれど
友達以上恋人未満の関係性がこれから一生続いていくのだと思うと、
ただ年月だけを重ねていくことに虚しさすら感じてしまう。

ただ隣に居てくれるだけで良かったはずなのに。

どんなに大切な親友や彼氏にでも埋められないものがあって、
紅華が触れた心のやわい部分だけがズクズクと化膿して、
一生癒えることのない傷として残り続けた。

本当は私はきみじゃなきゃだめで、
きみは私じゃなくても大丈夫。

大切に想ってくれる琉真に触れるたびに、
私の中に「最低」が育っていく毎日。

こーちゃんが一緒に死んでくれたらどんなにいいだろう。

こーちゃんの心がまだ私のもののままで。
こーちゃんの「一番大切」が私に向けられているうちに。

一緒に死ぬことができたなら、この恋もきっと成仏できる。

これ以上最低な人間にもならずに済むのに。

そんな身勝手な支離滅裂まで思考してしまうこの毒をどうか殺してください。

そう願うほどに苦しい存在なのに、
紅華を断ち切ることができない私の未来は幸せなんかじゃないのかもしれない。