僕の雨になって

花火が終わった頃にようやく陽が暮れ始めた。

夜に見る花火の色はもちろん憶えているけれど
紅華と見る花火はどんな色に見えるのだろう。

「俺も、糸ちゃんに幸せ負けしないように今度こそ頑張んなきゃな」

「今度こそって?」

「あれ、言ってなかったっけ」

「何を?」

「この前の元カノ。ヨリ戻したんだよ」

「えっ…あのSNSの?」

「そうそう」

紅華は笑いながら言ったけれど、私は全然笑えなかった。
火薬の香りも花火の余韻も何もかも、一瞬で吹き消されたみたいにモヤッと感だけが残った。

その感情が生まれること自体がおかしいのに。

私には琉真が居る。
紅華の幸せを願えないなんてだめだよ。

お互いが居なくなっても大丈夫な幸せを、未来を構築する為のミッションなのに。