「糸ちゃん、時間まだ平気?」

十六時になろうとしていた。
紅華とだったら何時までだって大丈夫だった。

「うん。全然大丈夫」

「ちょっとお散歩しよ。暑かったら無理はしないでほしいんだけど」

「今日は風があるから。気持ちいいよ」

「ごめんね。なんか中学生みたいなデートで」

今日のこれ、デートだったんだ。
そういう感覚が紅華の中にあったことが嬉しかった。

「それの何が悪いのー。こーちゃんと一緒にお散歩、楽しいよ」

「んー。ありがと」