舌先でちょんっと舐めたらべっこう飴の甘さが広がって、ホッとするような感覚だった。

「おいしい?」

「うん。甘い。この甘さは好き」

「いいなー」

「食べる?」

「いいの?」

「うん。どうぞ」

「いただきます」

やわらかい。

知らない感触。

お部屋のほとんどが白いからなのか、
脳みそがバグってしまったからなのか、
目の前がチカチカと点滅しているみたいに一瞬なって、
呼吸が止まってしまったかと思った。

初めてのキスだった。

「りゅうま…?」

「ほんとだ。甘いね」

「キス」

「ん?」

「キス、した」

「したね」

「ファーストキス」

「怒った?」

「怒ってない」

「嫌だった?」

「…たぶんヤじゃない」

ふ、と小さく笑った琉真の手のひらが私の頬、耳の裏、後頭部と流れるように触れていって、
グッと引き寄せられる。

やわらかい感触。

心臓が琉真のと溶け合ってしまったみたい。
二人の人間である境目が消えちゃったみたいだった。

「ちょっと強引ですね」

「だって、ほんとはちょっと嫉妬したから」

「嫉妬?」

「″こーちゃん″と会うこと」

「ごめんなさい」

「俺も人のこと言えないけどさ。一応でもいいから分かっててね?糸は俺の彼女なんだってこと」

「はい」

「うん。いい子」