「あのね」

「うん?」

「罪悪感、かな」

「なんの?」

「私ね、こーちゃんから連絡が来たらすごく嬉しいって思っちゃうんだ。この人の平穏を守りたいって思うし、大好きって気持ちが隠せない。そのたびに琉真には最低なことしかしてないって死にたくなる。琉真は私との未来を築こうとしてくれてるのに」

「いいよ、大丈夫。逆に安心するよ」

「安心?」

「糸って一途なんだなぁって。これって俺を本気で好きにさせたらゾッコンってことでしょ。楽しみだな」

「ポジティブ過ぎです」

「ネガティブよりいいだろ?」

「うん」

「糸がどれだけ引きずっててもいいって言っただろ。それは俺も同じだって。だからこそあの二人が悔しがるくらい幸せになってざまーみろって笑い飛ばしてやろうって言ったじゃん。糸、ここなら大丈夫だよ」

「大丈夫?」

「この場所は俺と糸の秘密基地だ。ここで全部ぶちまけてくれていい。全部守ってあげる」

「でも琉真、この前幼馴染に会ったでしょ」

「うん」

「私の誕生日」

「はい。あ、もしかして」

「嫉妬とかじゃありません。たぶん」

「なーんだ」

「でもね、思わなかった?やっぱりこの子とのほうがいいなぁって」

「言ってたよ。琉真が幸せそうで嬉しいって。俺には誰よりも幸せになる権利があるって。だから俺に大切にされるその子も世界一幸せになるべきなんだって。俺があいつへの想いを断ち切って幸せになることってさ、あいつを解放してやることにもなるんだ。友情を守りたかった、男女の壁を越えて対等で居たかったあいつの心を。そしたらあいつがまた一歩前進できる理由にもなるんだと思う。糸を巻き込んで申し訳ないけど。俺にも糸の力、貸してくれませんか」

「私達は共犯者だもんね」

「そうです」