「ごめん。お茶しかなかった」

「お構いなく!」

琉真がグラスで出してくれた麦茶を飲んだ。
キンッと冷えていておいしい。

琉真が私の隣に座ったら、ワンシーターのソファはちょっと狭かったけれど窮屈だとは思わなかった。

「糸さん」

「なんですか、琉真さん」

「今、楽しい?」

「もちろん」

「良かったです。糸はねぇ、もっとわがままとか言っていいんだからね」

「わがまま?」

「俺はただの友達じゃなくて、糸の彼氏なんだから。なんでも叶えてあげる」

「その言葉、ほんとは幼馴染に言いたかったんじゃないの」

「なーんでそんなこと言うの」

「幼馴染も琉真と付き合ってたらこんなに大切にされて、これ以上の幸せってきっと無かったんだろうなって時々思うから」

「でもあいつにとっては違ったんだろ」

「ごめんなさい…。ちょっといじわる言っちゃったよね。もしかしたらヤキモチかも」

「ヤキモチ妬くってことは少しずつ俺のことも意識してくれてるってことでしょ。嬉しいですよ」