「すごくきれいなお部屋だね」

「女の子が遊びに来ることなんて滅多にないしちょっと恥ずかしいな」

「その、幼馴染は?」

「俺が遊びに行くことのほうが多いんだ」

「じゃあ…私がほとんど初めて?」

「うん。本当にそうかも」

「ふーん?」

「なぁに、ニヤニヤしちゃって。嬉しい?」

「嬉しい、かも」

「それなら良かったです。来るって分かってたらちゃんと掃除してたのに。ごめんね」

「十分きれいだよ。ほんとに」

「そう?」

照れくさそうに笑いながら琉真はナチュラルな動作で私の手からりんご飴が入った袋を取った。

「冷やさないと。ちゃんとパリパリにね」

「ありがとう」

「座ってて」

「うん」

革張りのソファに座って、お部屋を見渡した。
初めて来るおうちはなんだか落ち着かない。

初めて来るおうちだからっていうよりも、
「彼氏のおうちだから」が大半を占めている気がする。