年明けの一月。
紅華にはまた彼女ができた。

「彼女ができた。糸ちゃんとはもう連絡取れない」

紅華から突然届いたメッセージに、
脳内は「なんで?」で埋め尽くされた。

「なんで?」

そのまま送り返した私のメッセージにすぐに既読マークが付いて、
数秒で「彼女を大事にしたいから」って返信が来た。

「え、私達はただの友達でしょ?友達が居たら彼女を大事にできないの?」

「でも女子だし。彼女が嫌がることはなるべくしたくないから」

「嫌がるって…別に会ったりしてないじゃん私達」

「それでも悲しませるかもなってことは少しでも減らしていきたいんだ」

ショックだった。

ああ、私以外にもこんな風に接していた子、そりゃ居るよねってヘコみと、
私は負けて、しかも彼女を傷つけるかもしれない対象として判断されたことが悲しかった。

電話でもなく、ましてや会うこともせずに、
メッセージだけで済まされる程度の関係だったのだと打ちのめされた。

「そっか。分かった。お幸せにね」

「ごめん。勝手なこと言って」

「別にいいよ。ばいばい」

本当はもっと言わなきゃいけないことがあったかもしれない。
「別に」とか卑屈にならないで、
友達なんだからいいじゃんとか、
迷惑かけたりしないよとか、寂しいとか…。

でも言えなかった。

縋りつくことが怖かったから。