「涼しいとこ、どこ行こっか」

「んー。もう三時だもんね。ちょっとのんびりしたいなぁ」

「あー…もしさ、糸が嫌じゃなければだけど」

「ん?」

「俺んち、近くだよ」

「わ、親イベント発生!?」

「一人暮らしだよ」

「そっか…うん、じゃあ琉真が迷惑じゃなければお邪魔しちゃおっかなぁ」

内心、心臓はバクバク鳴っていて、
急に喉がカラカラになったみたいだった。

過去にも彼氏が居たことはあったけれど
一人暮らしの男性のおうちに遊びに行ったことなんてない。

琉真の言う通り、一人暮らししているマンションは、
そこから五分程度のすぐ近くだった。

「狭いし散らかってるけど」って前置きされて通されたお部屋は、
一人暮らしの経験が無い私には相場が分からないけれど、
決して狭いとは言えない間取りだし、
きちんと整頓されていて清潔感を感じた。

リビングダイニングと寝室。
キッチンもスライド式のドアで仕切れるようになっていて、
一人暮らしには十分過ぎる広さだと思った。

カーテンや寝具、家具は白を貴重に統一感が保たれている。
ソファに並べられたクッションのカバーには差し色が使われていて、なんだか可愛い。