「ねぇ、今から別行動しない?」

「さんせーい」

食い気味に賛成した凪くんを見て、
時雨が今思いついたんじゃなくて、元々示し合わせていたんだろうなって分かった。

「二人はどう?せっかくなんだしデートしてきなよ」

「俺はいいけど。糸が二人で嫌じゃなければ」

もしかしたら琉真も″共犯者″なのかもしれない。

「私もいいよ。ちょっと涼しいとこ行きたいかもしれない」

「いいよ。飴も溶けちゃうしな」

「琉真くんってほんと優しいよね」

「俺だって優しいだろ?」

「はいはい。じゃーね、二人とも。解散もそれぞれでいいよね?」

時雨と凪くんも二週間くらいは会えていないって言っていたし、
時雨も凪くんと二人の時間が欲しかったのかもしれない。

時雨はずっと私のことを心配してくれているし、
案の定、紅華のことで悩んでいることも見透かしているから、
停滞してしまいそうな琉真との関係をアシストしてくれているんだって感じていた。

「時雨、また明日ね」

「楽しんでおいでね」

時雨と凪くんはもう少し「納涼祭」を楽しんでいくのか
ゆっくりしていくみたいだから私と琉真は先に神社を出た。