今日は地元の神社の「納涼祭」に来ている。

本当は毎年八月にあるけれど今年は大雨に当たってしまって、
せっかくだから「続く残暑を乗り切ろう」ってことで、九月に催されることになった。

「良かったよね。本当だったら琉真くんと糸はまだ出会ってない時だったから」

「本当だね。みんなで来れて嬉しいな」

そう言って微笑む琉真を見ていると
やっぱり少し胸が痛む。

だいじにされてるなぁって強く実感しているのに
私は紅華との間でフラフラし続けている。

時雨が心配した通りだった。

「糸、りんご飴溶けちゃうよ」

神社について真っ先にりんご飴を買った。
べっこう飴の味が大好きで、私にとってお祭りは「りんご飴を買える場所」だった。

暦の上では秋になっても猛暑が続いている。
ぷくっと膨れたビニールに包まれたりんご飴はべっこうが溶けて、袋に水滴を作っている。

「冷蔵庫で冷やし直してから食べるー」

「全部溶けちゃわないように気をつけてね」