「うん。こーちゃん」

「なぁに?」

「こーちゃんともまた会える?」

「んー、そうだなぁ。じゃあさあー!その次の日曜日には俺と約束する?」

「えっ、いいの?」

「その代わり、彼氏にはちゃんと言うんだよ?」

「分かった」

「よし。じゃあ約束。それこそ映画でも行こうか?」

「やったあ。それなら明日はやっぱりやめとこうかな」

「なんで?」

「約束までおあずけにして、こーちゃんとの特別にしたいから。焦らしプレイ」

「えっち」

「ばあか」

それから少しだけ他愛ない会話をして、
おやすみって言い合って電話を切った。

紅華の「おやすみ」が鼓膜に焼き付いて消えない。

ずるい私はまた思った。

琉真の心の中心も好きな子に支配されたままだったらいいのに。

罪悪感を軽くしたい為だけの、
最低な自分を殺してしまいたかった。