「あのね、彼氏できたの。その親友の彼氏の紹介でね」

「そっか。おめでとう続きじゃん」

「ありがとう。…あのね!」

「うん?」

「こーちゃんのことがどうでも良くなったから付き合ったんじゃないからね。前にも言ったけど、こーちゃんが安心して過ごせるように私もメソメソしていたくないから、私は私で楽しくやってくよってこと。二人のバランスを保つ為にはこーちゃんに依存し過ぎてもだめでしょ?」

なんで私はこんなに必死になって言い訳をしているのだろう。
琉真に対してすごく失礼なことをしている。

琉真とだったらきっと幸せになれると思ったから。
それだけで良かったのに。

「糸ちゃんは有言実行で凄いね。毎日笑って過ごせるように応援してるよ」

「ありがとう。彼氏もね、明日は幼馴染と会うんだって。私と付き合う前から決まってたことだけどまさか日にちが被っちゃうなんてって慌ててた」

笑いながら話す私に応えるように
紅華の笑い声も高くなった。

「実は俺も今日さ、幼馴染と会うんだよ」

「そうなんだ!」

幼馴染、というワードは少女漫画なんかでよく聞くけれど
私には「幼馴染」と呼ぶほどの人は居ない。

世の中の人は当たり前みたいに「幼馴染」が居るんだなぁって思った。

もっと大人になった時に、そんな風に呼べるのが私にとっては時雨になるのかもしれない。