二十三時五十九分。

だらだらとスマホで動画を見ていたら
画面が一瞬止まって、着信画面に切り替わった。

動画がフリーズしてしまったのかと思っていたら、
切り替わった画面には「紅華」の文字が並んでいる。

突然の紅華からの連絡には未だに慣れない。

「もっ…もしもし!?」

「良かったー、出てくれて」

「こーちゃん?どうしたの」

「どうしたのって、約束したじゃん」

「一番最初におめでとうって言ってほしいってやつ?」

「うん」

「だってまだ一分前…」

「十二時ちょうどだと誰かと被るかもだろ。だったら一緒にカウントダウンしたほうが安全じゃん…ってもう十秒前だよ!じゅー、きゅー」

カウントダウンする紅華の声がゼロに近づいていくごとに
私の涙腺がよわよわになっていく。

もう…なんなの本当にこの人は…。

こーちゃん。

好きだよ。

大好き。

琉真、ごめんなさい。
私はやっぱりまだ、正しい人間にはなれないよ。