「それ、穴空いてません?」
「は」
「それ、その傘です」
「え…あ、ああ、ほんとだ」
傘の″天井″を見上げる。
針で突いたような小さ過ぎる穴がポツッと空いている。
雨はこの穴よりも太いのか
降り込んでくることはない。
私は忘れ物や無くし物がすごく多い。
傘なんて人生で何本失くしたか分からないし
財布、定期券も平気で落とす、登校する時に鍵を忘れて行くことなんて数え切れず、
両親が共働きの我が家では帰宅しても家に入れないことなんて日常茶飯事だった。
人生で何本目になるのか分からない、
花びらをモチーフに模られたパープルの傘。
お気に入りだったのに穴に気づいてショックだった。
それにしても…。
「よく見えましたね、こんなん」
「ああ…恐ろしく目がいいんです、俺」
そんなバカな、とは思ったけれど言わなかった。
どんなに至近距離に近づいたってこんなに小さい穴、
しかも他人の傘なのにわざと探しでもしない限り、普通は気づかない。
現に差している本人だって雨が降り込んできているわけじゃないからまったく気づいていなかったんだし。
「は」
「それ、その傘です」
「え…あ、ああ、ほんとだ」
傘の″天井″を見上げる。
針で突いたような小さ過ぎる穴がポツッと空いている。
雨はこの穴よりも太いのか
降り込んでくることはない。
私は忘れ物や無くし物がすごく多い。
傘なんて人生で何本失くしたか分からないし
財布、定期券も平気で落とす、登校する時に鍵を忘れて行くことなんて数え切れず、
両親が共働きの我が家では帰宅しても家に入れないことなんて日常茶飯事だった。
人生で何本目になるのか分からない、
花びらをモチーフに模られたパープルの傘。
お気に入りだったのに穴に気づいてショックだった。
それにしても…。
「よく見えましたね、こんなん」
「ああ…恐ろしく目がいいんです、俺」
そんなバカな、とは思ったけれど言わなかった。
どんなに至近距離に近づいたってこんなに小さい穴、
しかも他人の傘なのにわざと探しでもしない限り、普通は気づかない。
現に差している本人だって雨が降り込んできているわけじゃないからまったく気づいていなかったんだし。
