ミツの両腕が千尋の頭をつかむ。
千尋の目の前にはまだ水がたっぷり残っている湯船がある。

千尋はミツが両腕に力を込める前に大きく息を吸い込んだ。
思っていた通り、頭まで水につけられてギュッと目を閉じる。

ミツがなにかわめいているけれど水の中ではその声も聞こえてこない。
ただ苦しみを耐えるだけだ。

必死で息を止めている千尋を見てミツが片手を頭から離し、わき腹を殴りつけてきた。
突然の衝撃に千尋の口からゴボゴボと空気が漏れ出てくる。

痛みと苦しさに顔をゆがめ、必死に水から顔を上げようとするがミツの怪力に押さえつけられてそれもかなわない。