千尋は男から「僕は外でも平気だから、君がこの部屋を使うといい」という言葉に甘えて安宿で一泊し、翌日になっていた。
この日は珍しく朝から悪天候で地面には大粒の雨がたたきつけていた。
宿で地味な色の和傘を借りて男と合流したのは昼前のことだった。
「あの靴はどうしたんだい?」
千切れた鼻緒の下駄を見て男が心配そうに聞いてきた。
「ミツに切り刻まれました」
と素直に言うと男はまた大きなため息を吐き出した。
「僕がいればまだマシだったのかもしれないな。本当にすまない」
この日は珍しく朝から悪天候で地面には大粒の雨がたたきつけていた。
宿で地味な色の和傘を借りて男と合流したのは昼前のことだった。
「あの靴はどうしたんだい?」
千切れた鼻緒の下駄を見て男が心配そうに聞いてきた。
「ミツに切り刻まれました」
と素直に言うと男はまた大きなため息を吐き出した。
「僕がいればまだマシだったのかもしれないな。本当にすまない」



