写真の中の女性は穏やかに微笑んでいるけれど、それは今の義理母とはかけ離れた姿だった。
「あの、聞きたいことがあります」

千尋は居住まいを正して言った。
「なんだい？」
「義理母はあなたと離縁した理由をミツのせいだと言っていています。ミツもそれを信じています。その話は本当ですか？」

これが一番聞きたかったことだった。
ミツはそのせいで実の母親から冷たくされ、その矛先をこちらへ向けている。

もしなにかの勘違いであれば少なくともミツからの攻撃は受けなくなるはずなのだ。
「ミツのせい？　そうあいつが言ったのか？」

「はい」
こくりとうなづく千尋に対して男は大げさに見えるほど首を左右に振った。