千切れた鼻緒と切り裂かれた両足ではそう遠くまで行くことはできなかった。
今ならあのふたりから逃れることができるという気持ちはあるものの、こんな自分を見てほしくなくて人がいれば自ら隠れてしまう。

そのくらい、今の千尋はみすぼらしい気分だった。
家から少し離れた河川敷まで出てきて千尋は足を止めてうずくまった。

ふくらはぎがズキズキ傷んで、ついでに胸も傷んでもう一歩も歩けない。