自分には適当に金を与えるだけで、あとから来た千尋には家のことも含めてすべての用事を頼む。
それが妬ましかった。

「私のお母さんなのに! 私のお母さんなのに!」
今度はどれだけ傷の上を殴られても痛みを感じなかった。

巨漢のミツが泣いていることに驚き、またその心中を考えると自分の痛みなど大した事ないと思ってしまったからだった。

ミツがどうしてこれほどまで自分に暴力的なことをするのか、ようやく理解できた気がした。
「ちょっと、これはどういうこと?」

突然剣のある声が聞こえてミツが慌てて千尋の上からおりた。
千尋は大きく息を吸い込んで、少しせき込んだ。
「こ、これは、その」