「それはあんたの顔を傷つけようとしたからよ。つまり、顔でなければ傷つけてもいいの!」
その声と同時にふくらはぎに痛みが走った。

どうやらミツは千尋の足の方へ体を向けてのしかかっているみたいだ。
千尋の白い太ももに切り傷が入り、鮮血がぷっくりと膨れ上がってくる。
それがすぐに血の筋となって流れ落ちていった。

「だ、誰か助けて! 助けてくだいさい!」
命の危険を感じて渾身の力で叫んだ。
その間にもう一度、今度は逆側の太ももに鋭い痛みが走っていた。

両足の太ももから血が流れ出し、床に広がっていく。
「私よりも少し細身だからって調子に乗りやがって! 捨て子のくせに!」