義理姉のミツは西洋の文化が大好きで家事所ではないし、拾ってくれた義理母も家事は得意ではなさそうなので仕方のないことだった。
でも自分の荒れた手を見ると時々思う。

拾われた家がここでなければよかったのにと。
もちろん、そんなことは口が避けても言えないけれど。

「ちょっとあんた」
突然後方かから声をかけられて千尋はその場に飛び上がって驚いた。
振り向くと薄いピンク色の着物を身に着けたミツが立っている。

どうやらワンピースを着るのはあきらめたらしい。
「はい。なんですかお姉さま」
ホウキを壁に立てかけて質問するや否や突然髪の毛をつかまれた。