ぎゅうぎゅう押し込もうとしているため、指が妙に曲がってしまっている。
「なによこれ、不良品なんじゃないの!?」

ついにあきらめたミツが真っ赤な顔で怒鳴る。

「それはサイズが違うからです」
千尋に言葉に鋭い視線を向けると、切れた鼻緒の下駄を差し出してきた。
「この靴は私が預かっておくわ。あんたはこれを履いて帰りなさい」

ミツは冷たく言い放つと千尋に更にたくさんの荷物を押し付けて歩き出したのだった。

☆☆☆

千尋がミツからずいぶん遅れて家に戻ってきたとき、玄関先に切り刻まれた白い靴を見つけた。
「そんな……」

無残な姿になった靴を目にして全身から力が抜け落ち、その場に両ひざをついた。