千尋は持っている荷物を落とさないようにするのに精一杯で靴を守り切ることができなかった。
だって、荷物を落とせば必ずミツは不機嫌になる。

その後どうなるかを考えればせっかくの靴でも手放さざるを得なくなってしまう。
「あのワンピースに似合いそう」

ついさっき千尋が感じたことをミツも思っていたみたいだ。
だけど……と、千尋はそっとミツの足を見つめた。
ミツは大食漢でかなり体重がある。

足だけ見ても千尋の三倍のサイズがありそうだ。
そんなミツが同じ靴を履けるとは思えなかった。

ハラハラしながら様子をうかがっていると、案の定ミツはその場で靴を履こうとしたのだ。
だけどきつくて足が入らない。