もちろん、千尋はお金だって持たされていないから、新しい下駄を買うこともできない。
ミツに頼んで買ってもらおうか。
一瞬そんな考えが浮かんできたけれど、すぐにかき消した。
そんなことで恩を売ってしまっては、あとから何倍になって帰ってくるかわからない。
それだけは頼めない。
途方に暮れそうになった時だった。
「大丈夫ですか?」
片方の下駄を脱いで右往左往していたところに一人の男が声をかけてきた。
見ると50代前半くらいだろうか、スーツ姿のいかにもお金を持っていそうな紳士然とした男だった。
「だ、大丈夫です」
「鼻緒が切れているね。ちょうどそこに下駄屋がある。なにか見繕ってあげよう」
ミツに頼んで買ってもらおうか。
一瞬そんな考えが浮かんできたけれど、すぐにかき消した。
そんなことで恩を売ってしまっては、あとから何倍になって帰ってくるかわからない。
それだけは頼めない。
途方に暮れそうになった時だった。
「大丈夫ですか?」
片方の下駄を脱いで右往左往していたところに一人の男が声をかけてきた。
見ると50代前半くらいだろうか、スーツ姿のいかにもお金を持っていそうな紳士然とした男だった。
「だ、大丈夫です」
「鼻緒が切れているね。ちょうどそこに下駄屋がある。なにか見繕ってあげよう」



