もたもたと下駄を脱いでいる千尋を見てミツが不機嫌そうに顔をゆがませる。
まずい。
せっかく上機嫌なのに、このままではまた機嫌を損ねてしまう。

家に戻ったあとなにをされるかわからない。
「ご、ごめんなさい! お姉さまはどうぞお買い物を続けてください」
荷物を沢山持っている中では鼻緒を直すこともできない。

とにかくミツには自由にしてもらって、その間に自分でどうにかするしかなさそうだ。
「ふん。じゃあ私は行くから」

ミツは困っている千尋を心配するそぶりも見せずに近くの店へと入っていく。
「どうしよう。ここじゃ、直す道具もないし」