あまりみかけない派手な色合いの着物に、ずっと見ていると目がチカチカしそうだ。
「お待たせいたしました」

千尋は地味な紺色の着物を身に着けて、青い花模様の鼻緒がついている下駄に足を通す。
細くて白い足に青い花がよく映える。

「じゃあ行きましょう」
鼻歌でも歌うような勢いのミツを横目で見ながら半歩下がってついていく。
前に新しい洋服が欲しいと言っていたから、もしかしたらお金をもらえたのかもしれない。

義理母は元旦那が送ってくる十分なお金でなに不自由ない暮らしをしているから、お金を渡すことでミツがしばらく大人しくなるのなら、その方が楽なのかもしれない。