「あまり顔ばかり叩かないの。腫れたら使い物にならないじゃない」
義理母からの忠告を受けてミツは横倒しになった千尋のわき腹をけり上げた。

さっき食べたばかりの魚がせりあがってくる。
「あんたなんて人間以下よ! ただの道具でしかないの、わかる!?」

蹴りと同時に怒号が飛んでくる。
千尋を見下し、人権を迫害する鋭利な言葉の刃物たち。
それは千尋の胸にグサグサと突き刺さり、次第に気力を失わせていく。

「それなのに生意気なのよ!」
ミツの渾身の一撃が腹部に突き刺さった。

グッと体をまげて必死に耐える。
けれど意識が遠のいていく。
私は道具。