自分の子供の見た目を悲観して離婚するくらいなら、もともと義理母と結婚などしていないだろう。
離婚理由はきっとほかにある。

☆☆☆

「ねぇ、お母さん、新しい服を買ってよ」
ある日の朝。

千尋が三人分の食事を用意して自分も食卓へついたとき、ミツの甘える声が響いた。
「この前買ったばかりでしょう」

義理母はミツに目を向けることなく、雑誌を広げている。
食事をしながら雑誌なんて。

と、心の中で思ってももちろん千尋が注意できる立場ではない。
「あれはあまり私に似合っていなかったの!」

ミツが言っている服は青いワンピースのことだろう。
あれは見た目は綺麗だったけれど、ミツの体には小さすぎた。