しかし義理母は汚いものを見たかのような視線を千尋へ投げつけると「あんたたちの好きにしてなさい」と、ふたたび雑誌に視線を落としてしまったのだ。

千尋がその雑誌に視線を落とすと、若い男のイラストが乗っている。
義理母はずっとそのイラストを見つめてはため息をついている。

この状態の義理母には何を言っても意味がないことを千尋はすでに覚えていた。

義理母は異様なまでに若くて財力のある男が好きで、そのような男を街中でみかけるととたんに上の空になってしまうのだ。
それが雑誌の中の男になったとて、態度はさして変わらない。

「逃げるんじゃないよ!!」