再度深い息をはいてから、会議室を離れる。
書店員さん達に軽く挨拶をして、会場になった書店を離れた。
ここから自宅までは、電車で一駅分。
普段車移動だか、たまには歩くのもいいだろうと思い、電車でここまで来ていた。
目的地の駅まで、ワイヤレスイヤホンで音楽を聞く。
ぼんやりと駅まで向かっていると、スマホに着信が入る
指で操作し、電話に出る。
「やっほー!初写真集発売、おめでとう!」
開口一番で、お祝いを伝えてきたのは、
「颯人…。お前、仕事は?」
「大親友からのお祝いはスルー!?今は、休憩中だから大丈夫。そろそろ仕事が終わっただろうとは思って、電話したのに!」
電話口で騒いでいる。颯人とは、腐れ縁。
「そりゃ、どうも。大人気モデルのHAYATO様に祝われるとはね。」
「…おまえ、嬉しそうじゃないな。」
からかうような口調から真剣なものに変わる颯人には、
俺の気持ちはバレてしまうようだ。
「俺には、分不相応な気がずっとしているんだ…」
「大人気カメラマン、藤井圭佑が何を言ってるんだか。」
「真面目に聞く気、あんのか?おまえ。」
「どうせ、自分の作品には価値がないのにってやつだろ。価値はおまえだけが決めるものじゃない。芸術は、特に周りの評価で決まるものだよ。」
「ホント、分からない」
ただ、一瞬を切り取っただけなのに。
「…そんなに嫌だったのか?あの表紙。」
「…好きではないな…。」
「…高校生の時の写真だからか?あれで、有名になったってのに。」
「…半分は正解かな。それに、あれ以上のものが撮れないっていうのが悔しいってとこかな。」
あの表紙は、高校生の時にコンクールに出して、
まさかの最優秀賞を取ったもの。
それがきっかけで、今の職についたようなものだ。
「…そんなに卑下にしなくていいのに…」
「今の俺には、あれ以上のモノが取れないからかな。」
純粋な想いを切り取ったモノにいくら技術があっても
敵わない。
裏を返せば、あの時の純粋な想いが今の俺にはない。
邪な醜い想いがずっと心の中にある。
「…俺は、お前の作品は好きだよ。お前に撮られるなんて、今では最高の名誉だし。」
「颯人だけだよ、そんな風に言うのは。」
「お前に撮ってもらいたいモデルなんて、どんだけいると思ってるんだよ。人を滅多に撮らないくせに、いつも人気カメラマンさん?」
「うるさいな、人を撮るのは苦手なんだよ。風景と動物の方が一瞬だし、楽しめるんだよ。」
「…ふーん、だから、あれ以来俺を撮ってくれないわけ?」
「言っただろう?人は苦手だと。あの写真以上のモノが取れないってだけだ。人気モデルのHAYATOの魅力を引き出せる自信はないね。」
「…また圭佑に撮って欲しいのに」
「…腕に自信が付いたらな」
「写真集も出たんだから、そろそろいいと思うけど?」
「…まだ先かな」
「ふーん、まっ、いいや。休憩も終わるから、また後日お祝いがてら、飲み会しようぜ。」
「わかった。またな。」
腐れ縁との電話を切る。
きっとまたアイツを撮ることは無いだろう。
アイツへの想いがバレてしまうから…
書店員さん達に軽く挨拶をして、会場になった書店を離れた。
ここから自宅までは、電車で一駅分。
普段車移動だか、たまには歩くのもいいだろうと思い、電車でここまで来ていた。
目的地の駅まで、ワイヤレスイヤホンで音楽を聞く。
ぼんやりと駅まで向かっていると、スマホに着信が入る
指で操作し、電話に出る。
「やっほー!初写真集発売、おめでとう!」
開口一番で、お祝いを伝えてきたのは、
「颯人…。お前、仕事は?」
「大親友からのお祝いはスルー!?今は、休憩中だから大丈夫。そろそろ仕事が終わっただろうとは思って、電話したのに!」
電話口で騒いでいる。颯人とは、腐れ縁。
「そりゃ、どうも。大人気モデルのHAYATO様に祝われるとはね。」
「…おまえ、嬉しそうじゃないな。」
からかうような口調から真剣なものに変わる颯人には、
俺の気持ちはバレてしまうようだ。
「俺には、分不相応な気がずっとしているんだ…」
「大人気カメラマン、藤井圭佑が何を言ってるんだか。」
「真面目に聞く気、あんのか?おまえ。」
「どうせ、自分の作品には価値がないのにってやつだろ。価値はおまえだけが決めるものじゃない。芸術は、特に周りの評価で決まるものだよ。」
「ホント、分からない」
ただ、一瞬を切り取っただけなのに。
「…そんなに嫌だったのか?あの表紙。」
「…好きではないな…。」
「…高校生の時の写真だからか?あれで、有名になったってのに。」
「…半分は正解かな。それに、あれ以上のものが撮れないっていうのが悔しいってとこかな。」
あの表紙は、高校生の時にコンクールに出して、
まさかの最優秀賞を取ったもの。
それがきっかけで、今の職についたようなものだ。
「…そんなに卑下にしなくていいのに…」
「今の俺には、あれ以上のモノが取れないからかな。」
純粋な想いを切り取ったモノにいくら技術があっても
敵わない。
裏を返せば、あの時の純粋な想いが今の俺にはない。
邪な醜い想いがずっと心の中にある。
「…俺は、お前の作品は好きだよ。お前に撮られるなんて、今では最高の名誉だし。」
「颯人だけだよ、そんな風に言うのは。」
「お前に撮ってもらいたいモデルなんて、どんだけいると思ってるんだよ。人を滅多に撮らないくせに、いつも人気カメラマンさん?」
「うるさいな、人を撮るのは苦手なんだよ。風景と動物の方が一瞬だし、楽しめるんだよ。」
「…ふーん、だから、あれ以来俺を撮ってくれないわけ?」
「言っただろう?人は苦手だと。あの写真以上のモノが取れないってだけだ。人気モデルのHAYATOの魅力を引き出せる自信はないね。」
「…また圭佑に撮って欲しいのに」
「…腕に自信が付いたらな」
「写真集も出たんだから、そろそろいいと思うけど?」
「…まだ先かな」
「ふーん、まっ、いいや。休憩も終わるから、また後日お祝いがてら、飲み会しようぜ。」
「わかった。またな。」
腐れ縁との電話を切る。
きっとまたアイツを撮ることは無いだろう。
アイツへの想いがバレてしまうから…
