あの空~初恋に気づいたあの日へ

「やっぱり、表紙をアレにして正解でしたね!」

自分の企画が上手くいったからなのか、吉永さんは饒舌だ。

「アレね…。俺はあの写真は好きじゃないんだけどな…」

「えぇー!あんなに綺麗に撮れているのにですか?あんな写真、撮ろうにも取れないやつですよ?それとも、学生時代の作品だからですか?」

「うーん、半々かな。学生時代のってもあるし、それにアレは…」

「アレとは?」

「いや、なんでもないよ。それより、今日はこれで終わりかな?」

なんとか話題を変えて、この場を去りたくてしょうがなかった。

「あっ、はい。終わりです。長い時間、ありがとうございました。私は一旦会社に戻らないとなんですが、藤井さんはどうしますか?」

「このまま直帰します。いつもと違うことをしたので、疲れたので。」

「分かりました。今日はお疲れ様でした!」

吉永さんが多量の荷物を持って、この会議室から出ていった。

1人になった空間で、フゥーと深い息をはく。

やっと息苦しさを感じなくなった気がした。

写真集を見る度に、胸の奥底に隠した想いが勝手に蓋を開けて出てきそうになるのを何度も何重にして閉める。

この想いは叶わないし、叶えてはいけない。

一瞬でも気付かれた際には、俺は大事な親友を失ってしまうからだ…。